【AI×個人情報】第1部 「無料版ChatGPT」を業務で使う落とし穴。土地家屋調査士が選ぶべきAIプランとは?

【AI×個人情報】第1部 「無料版ChatGPT」を業務で使う落とし穴。土地家屋調査士が選ぶべきAIプランとは?

土地家屋調査士事務所でAIを使うとき、最初に決めるべきことは「便利なプロンプト」ではありません。

先に決めるべきなのは、以下の4つです。(ChatGPTを使う場合)

  • ① 個人情報を入れてよいか(どこまで匿名化するか)
  • ② ChatGPTのどのプランを使うか(無料版・Plus・ChatGPT Businessのどれを使うか)
  • ③ AIの回答を「誰が」確認するか(責任の所在)
  • ④ スタッフが勝手にAIを使わないためのルール(野良AI対策)

この記事では、調査士事務所でAIを安全に使うための最低限のルールと、ChatGPTの無料版・Plus・ChatGPT Businessの違いについて整理します。

Table of Contents

まず確認:あなたの事務所は大丈夫ですか?

次の項目に1つでも当てはまる場合、情報漏えい・守秘義務・個人情報管理の面でリスクが潜んでいます。
AIの使い方を見直す必要があります。

危険度チェックリスト

  • □ 依頼者名、住所、地番、登記情報PDFをChatGPT無料版に入力したことがある
  • □ 事務員が個人のスマートフォンや個人アカウントでChatGPTを使っている
  • □ ChatGPTの「データ学習利用」をOFFにしていない、または設定を知らない
  • □ 無料版、Plus、ChatGPT Businessの「契約上の違い」を説明できない
  • □ 事務所内で「AIに入れてよい情報・ダメな情報」のルールを決めていない

AI活用で見落とされやすいリスクは、AIの誤回答(ハルシネーション)だけではありません。

何のルールもないまま、個人アカウントや無料版に「依頼者の情報」を流し込んでしまうことです。

この記事の結論

  • 無料版・Plusでも使える業務はあります。前提条件として、個人情報を入れない、学習利用をOFFにする、案件を特定できる情報を匿名化する、というルールが必要です。
  • ChatGPT Businessは、安全運用しやすい有力な選択肢です。ただし、Businessを契約すれば何でも入力してよいわけではありません。入力してよい情報・伏せる情報・使ってはいけない場面の線引きが必要です。
  • 一番重要なのは、プラン選びよりも所内ルールです。誰が使うか、何を入力してよいか、AIの回答を誰が確認するか、責任の所在を決めないまま使うことが最も危険です。
  • 野良AI対策が必要です。所長が知らないところで、事務員や補助者が個人アカウントのAIに依頼者情報を入れてしまう状態を防ぐ必要があります。

ChatGPTのプラン選び:結論は「Business一択」ではない

土地家屋調査士が業務でAIを利用する場合、最初に考えるべきことは「どのプランが一番安全か」だけではありません。
実務上は、「どの情報を入力するのか」「誰が使うのか」「誰が最終確認するのか」によって、必要なプランと運用ルールが変わります。

個人情報を入れない業務、匿名化した練習、一般的な文案作成、Excel関数の相談などであれば、無料版・Plusでも十分に活用できます。

ただし、依頼者名、住所、地番、登記情報PDF、境界確認など具体的内容などを扱う場合は、無料版・Plusのまま安易に入力すべきではありません。

ChatGPT Businessが向いているケース

ChatGPT Businessは、組織としてAIを導入する場合の有力な選択肢です。
特に、次のような事務所では検討価値があります。

  • 補助者を含めて複数人でAIを使う予定がある
  • 所長がアカウントや利用環境を管理したい
  • 依頼者情報や業務情報をAIに入力して使いたい
  • 個人情報管理や委託先管理について説明できる状態にしたい

条件付きで使える:無料版(Free) / Plus(個人有料)

無料版・Plusは、業務では一切使ってはいけない、というわけではありません。

むしろ、AIに慣れる段階では、無料版・Plusから始める方が現実的と言えます。
ただし、無料版・Plusで使う場合は、以下の条件を守る必要があります。

  • 対象業務:AIの試用、一般的な文章作成、Excel関数、個人情報を含まない業務
  • 料金:無料、またはPlusの月額利用料
  • 契約条件:1ユーザーから利用可能
  • 最低条件:データ学習利用をOFFにする(オプトアウト設定)
  • 入力ルール:依頼者名、住所、地番、登記情報PDF、境界紛争や相続関係など、案件や個人が特定される情報は入れない

無料版・Plusは、「個人情報を入れずに使う道具」として位置づけるなら、十分に使い道があります。

一方で、事務所として依頼者情報を含む業務データを扱う前提なら、ChatGPT Business等のビジネス向けプランや、別の安全なAI環境を検討する必要があります。

なぜ「ルールなしの無料版・Plus利用」は危険なのか?(法的検証)

ここで注意したいのは、無料版ChatGPTやPlusプランそのものが悪い、という話ではありません。

危険なのは、学習利用設定を確認せず、匿名化もせず、依頼者情報・住所・地番・登記情報PDF・境界確認の具体的内容などを、そのままAIに入力してしまうことです。

無料版・Plusでも、個人情報を入れない業務であれば十分に使えます。たとえば、一般的な送付状のひな形、メール文の下書き、Excel関数、ブログ構成案、研修資料のたたき台などです。

一方で、土地家屋調査士事務所では、依頼者情報・登記情報・境界に関する相談内容など、守秘義務や個人情報管理と直結する情報を扱います。
そのため、AIを使う場合は「どのプランか」だけでなく、何を入力してよいか、誰が確認するか、スタッフが勝手に使わないためのルールを決める必要があります。

① 土地家屋調査士法上の「秘密を守る義務」

土地家屋調査士には、一般企業よりも重い守秘義務があります。

土地家屋調査士法 第24条の2(秘密を守る義務)
調査士は、正当な理由がなく、その業務上取り扱った事項について知り得た秘密を漏らしてはならない。調査士でなくなつた後も、同様とする。

引用:e-GOV法令検索 土地家屋調査士法第24条の2 より引用

土地家屋調査士職務倫理規程 第12条(秘密保持等の義務)
調査士は、正当な理由がなく、業務上知り得た秘密を漏らしてはならない。
2 調査士は、その使用人その他の従業者が、その業務上知り得た秘密を漏らさないように必要な措置を講じなければならない。

引用:日本土地家屋調査士会連合会HP 土地家屋調査士職務倫理規程 より

【検証】

依頼者名、住所、地番、登記情報PDF、境界確認の具体的事情などは、調査士業務上知り得た秘密や個人情報に該当し得ます。

そのため、無料版・Plus・Businessのどれを使う場合でも、「入力してよい情報」と「入力してはいけない情報」を分ける必要があります。

特に、無料版・Plusで学習利用がONのままの場合、入力内容がモデル改善に使われる可能性があります
その状態で依頼者情報を入力すると、依頼者の同意なく外部サービスに情報を提供した、と判断されてしまうかもしれません。

一方で、学習利用をOFF(オプトアウト設定)にし、案件を特定できる情報を入れず、匿名化して使うのであれば、無料版・Plusでも活用できる業務はあります。

② 無料版・Plus・Businessの位置づけ

ChatGPTのプランを、個人情報・業務秘密の扱いという観点で整理すると、次のようになります。

プラン料金目安契約・規約の位置づけ個人情報を扱う業務での考え方
無料版無料個人向けの利用規約個人情報・案件情報は原則入力しない。
学習利用OFFと匿名化が最低条件。
Plus月額20ドル個人向けの利用規約法的・契約上の位置づけは無料版に近い。
個人情報を扱う場合のリスクは
無料版と大きく変わらない。
Business【年払い】
月額25ドル/1ユーザー
【月払い】
月額20ドル/1ユーザー
どちらも2席以上必要
ビジネス向け契約・DPA
管理機能を確認しやすい
組織管理や委託先管理の説明材料を整えやすい。
ただし、何でも入力してよいわけではない。

※料金・プラン名・最低席数・機能は変更される可能性があります。契約前には、必ずOpenAI公式サイトの最新情報を確認してください。
※2026年5月9日時点、Bussinessの年払い料金は月額3,050円月払い料金は月額20ドルと表記されています
 (ChatGPT Bussinessでの請求とシートの管理 OpenAI公式サイト)

Plusは、無料版と比べて利用制限・混雑時の優先利用・利用できる機能の面では明確なメリットがあるので、ファイルアップロード、画像生成、音声機能、分析機能などを多く使いたい場合、無料版より使いやすいプランです。

ただし、Plusは「個人向けの有料プラン」であり、Businessのような組織管理・DPA・管理者による利用制御を前提としたプランではありません。

つまり、Plusは「便利になる」プランではありますが、依頼者情報を入れてよい根拠が自動的に強くなるプランではない、ということを知っておきましょう。

③ 個人情報保護法上の「第三者提供」と「委託」

さらに、個人情報保護法の観点からも整理します。

比較項目無料版・PlusBusiness等のビジネス向けプラン
基本的な位置づけ個人向けサービスとして利用組織・事業者向けサービスとして利用
学習利用学習利用OFF(オプトアウト設定)が
最低条件。
ビジネス向けワークスペースでは、
学習利用されない設定。
DPA通常は適用されない適用関係を確認しやすい
管理機能個人アカウント単位メンバー管理・権限管理・請求管理などが可能
所内ルール必須必須

ここで重要なのは、Businessなら何でも入力してよい、という話ではないことです。

Business等のビジネス向けプランは、契約・DPA・管理機能の面で説明材料を整えやすくなります。
しかし、それでも入力情報の選別、スタッフ利用ルール、最終確認者の設定は必要です。

もちろん、無料版・Plusであっても、個人情報を入れず、学習利用OFF・匿名化・人間確認を徹底するなら、安全に使える業務はあります。

Business等のビジネス向けプランで説明しやすくなること

ChatGPT Business等のビジネス向けプランでは、組織データがデフォルトで学習利用されないこと、管理者によるユーザー管理、契約条件、DPAなどを確認しやすくなります。

そのため、調査士業務の一部を外部ツールに処理させる「委託」として説明しやすくなります。
ただし、「委託」と整理できる可能性があること」と、「何を入力してもよいか」は別問題です。

委託先の監督、入力情報の選別、スタッフ利用ルール、最終確認者の設定まで含めて、初めて安全運用に近づきます。

個人情報の保護に関する法律 第25条(委託先の監督)

個人情報取扱事業者は、個人データの取扱いの全部又は一部を委託する場合は、その取扱いを委託された個人データの安全管理が図られるよう、委託を受けた者に対する必要かつ適切な監督を行わなければならない。

引用:e-GOV法令検索 個人情報の保護に関する法律 第25条 より引用

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無料版・PlusとBusinessで違う「契約上の説明材料」

無料版・Plusでも、学習利用をOFFにし、個人情報を入れなければ、安全に使える業務はあります。

ただし、契約上の位置づけを見ると、Business等のビジネス向けプランの方が、事務所として説明しやすい材料が多いのは事実です。

違いは、「AIが賢いかどうか」ではなく、契約・機密保持・DPA・管理機能の有無です。

「利用規約」と「ビジネス向け契約」

ChatGPTなど、OpenAIのサービスを利用する際、プランによって適用される契約や説明材料が異なります。
無料版・Plusプラン(個人向け):個人向けの利用規約が基本になります。

ChatGPT Business・Enterpriseプラン(組織・企業向け):OpenAI Services AgreementやDPAなど、ビジネス向けの契約・データ処理に関する文書を確認しやすくなります。

簡単に言えば、無料版・Plusは「個人として便利に使うためのプラン」、Businessは「組織として管理しながら使うためのプラン」です。

Plusは有料なので無料版より安全、と思われがちですが、個人情報や業務秘密を入れる場面では、無料版と同じく慎重な運用が必要です。

ただし、Plusには実務上のメリットもあります。無料版より利用制限が緩く、混雑時の優先利用、ファイルアップロード、画像生成、データ分析などを使いやすくなるため、個人情報を入れない業務でAIに慣れるには有効です。

① 「機密保持(Confidentiality)」の有無

ここが大きな違いです。OpenAI側が、顧客データをどのような契約上の位置づけで扱うかが変わります。

無料版・Plus(個人向けの利用規約)

無料版・Plusでは、Businessのような組織向け管理やDPAを前提にした利用ではありません。

そのため、依頼者情報・住所・地番・登記情報PDF・境界紛争の具体的事情などを入力する用途には向きません。

OpenAI利用規約の要旨
個人向けサービスは、利用規約に基づいて提供されます。また、保証の否認や責任制限に関する定めがあります。

参照元:OpenAI 利用規約 Terms of Use

Businessプラン(ビジネス向け契約)

Business等のビジネス向けプランでは、組織向けのワークスペース、管理機能、DPA、データの学習利用に関する説明材料を確認しやすくなります。

これは、事務所として「AIをどう管理しているか」「どの契約に基づいて外部サービスを使っているか」を説明するうえで有利です。

OpenAI Services Agreement・DPAの要旨
DPAは、OpenAIが顧客データを顧客のために処理する場面について定める文書であり、ビジネス向け契約を補足するものです。

参照元:OpenAI Data Processing Addendum

結論:Businessは、事務所として説明材料を整えやすいプランです。ただし、Businessを契約しただけで、依頼者情報を何でも入力できるわけではありません。入力情報の線引きと確認体制は別途必要です。

② 「責任の制限」と「補償」の現実

仮に情報事故が起きた場合、契約上どこまで責任を問えるかも確認しておく必要があります。

無料版・Plusは、個人向け利用規約の範囲で考える

無料版・Plusは、個人向けサービスとしての利用規約が基本です。

無料版は支払額がないため、責任制限の上限は原則として100ドルが問題になります。Plusの場合は有料利用なので、規約上は100ドルまたは過去12か月間の支払額のいずれか高い方、という考え方になります。

OpenAI利用規約「責任の制限」の要旨
法が認める範囲で、損害賠償額には100ドルまたは過去12か月間に支払った金額のいずれか高い方を上限とする定めがあります。

参照元:OpenAI 利用規約 Terms of Use

この点からも、無料版・Plusに依頼者情報をそのまま入力する運用は避けるべきです。

Businessでも「情報漏えいが自動補償される」わけではない

Business等のビジネス向けプランであっても、情報漏えい事故が起きた場合に、自動的・無条件に補償されると考えるのは危険です。

重要なのは、契約・DPA・機密保持・管理機能を確認したうえで、事務所側も必要な監督・入力情報の選別・利用者管理を行うことです。

つまり、Businessは「説明材料を整えやすい」プランであって、所内ルール不要の免罪符ではありません。

DPA(データ処理契約)は「監督の材料」になる

Business等のビジネス向けプランで重要になるのが、DPA(Data Processing Addendum:データ処理契約)です。

DPAとは、個人情報や業務データの処理を外部サービスに委託する際に、その処理方法・安全管理・役割分担などを定める補足契約です。

項目無料版・PlusBusiness等のビジネス向けプラン
適用されるルール個人向けの利用規約ビジネス向け契約・DPA等を確認しやすい
契約の性質個人利用向け組織・事業者利用向け
DPA通常はなし確認可能
管理機能個人アカウント単位メンバー管理・権限管理・請求管理など
向いている使い方個人情報を入れない試用・下書き・一般業務組織として管理しながら使う業務

無料版・Plusは、個人情報を入れない使い方であれば十分に活用できます。しかし、依頼者情報や業務情報を扱う場合、「どうやって委託先を監督しているのか」を説明する材料が弱くなります。

Business等のビジネス向けプランでは、DPAやサービス契約の適用関係、管理機能、学習利用に関する扱いを確認しやすくなります。

ただし、DPAがあるだけで監督義務が完全に終わるわけではありません。入力情報の選別、利用者管理、所内ルール、確認体制まで含めて運用する必要があります。

無料版・Plusで使う場合の安全運用ルール

無料版・Plusでも、ルールを守れば十分に使える業務はあります。

特に、AIに慣れる段階では、いきなりBusinessを契約するより、まずは無料版・Plusで「個人情報を入れない業務」から試す方が現実的です。

ただし、以下のルールを事務所内で周知してから使いましょう。

  • ルール①:固有名詞は「記号」に置き換える(匿名化)
  • ルール②:「個人情報を使わない業務」で試す
  • ルール③:AIの文章をそのまま外部に出さない
  • ルール④:AIの利用範囲を決める
  • ルール⑤:野良AIを防ぐ

ルール①:固有名詞は「記号」に置き換える(匿名化)

依頼者の氏名、具体的な住所、地番などの「個人を識別できる情報」は、無料版・Plusには入力しないでください。

  • NG例:「香川県〇〇市〇〇町1番2の土地について、所有者の田中太郎さんが…」
  • OK例:「A県B市の土地について、所有者Cが…」

このように、個人や案件が特定できない形に置き換えれば、AIに相談できる範囲は広がります。

ルール②:「個人情報を使わない業務」で試す

具体的な事件情報を入力しなくても、AIの便利さは十分に体感できます。まずは以下のような、個人情報を使わない業務で活用してください。

  • 送付状・メールのひな形作成
    例:「登記識別情報を郵送する際の、丁寧な送付状の文案を書いて」
  • ブログ・セミナー資料の構成案
    例:「境界確定の重要性について、一般市民向けの分かりやすいブログ記事の構成を考えて」
  • Excel関数の作成
    例:「A列の日付から和暦を自動計算するExcel関数を教えて」
  • 一般的な文章の言い換え
    例:「この文章を、依頼者向けにやわらかく言い換えて」

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ルール③:AIの文章をそのまま外部に出さない

無料版・Plusで作った文章に限らず、AIの出力は必ず人間が確認してください。
特に、依頼者、隣接所有者、役所、取引先に送る文章は、AIが作ったものをそのまま送信してはいけません

AIは下書き担当人間は確認担当、この役割分担を崩さないことが重要です。

ルール④:AIの利用範囲を決める

AIを使う場合は、使ってよい業務を限定してください。

  • 一般的なメール文の下書き
  • 個人情報を含まない送付状のひな形
  • 誤字脱字チェック
  • Excel関数の相談
  • 会議メモの整理。ただし個人情報を含まないものに限る

特に、境界紛争、相続関係、クレーム対応などの個別事情はAIに入力しないルールにすべきです。

ルール⑤:野良AIを防ぐ

野良AIとは、事務所が許可していないAIを、スタッフが自己判断で使っている状態です。
たとえば、事務員が個人スマートフォンのChatGPT無料版に、依頼者名や地番を入れてメール文を作っている場合です。

本人に悪気がなくても、事務所としては重大なリスクになります。

野良AIを防ぐためには、単に「使うな」と禁止するだけでは不十分です。以下を決めておく必要があります。

  • 使ってよいAIを決める
  • 使ってよい業務を決める
  • 入力してはいけない情報を明示する
  • AIで作った文章は誰に確認するか決める
  • 迷ったときは入力せず、所長や責任者に確認するルールにする

AI利用は、禁止するよりも、安全に使える範囲を明確にする方が現実的です。

結論とアクションプラン

AIは、正しく使えば土地家屋調査士業務を劇的に変える「名刀」になりますが、使い方を誤れば己を傷つける「凶器」にもなりかねません。

ただし、今回の結論は「無料版やPlusを一切使うな」ではありません。

無料版・Plusでも、個人情報を入れず、学習利用OFF・匿名化・人間確認を守れば使える業務はあります。

一方で、依頼者情報や業務データを扱う前提で、複数人でAIを使うなら、ChatGPT Business等のビジネス向けプランを検討する価値があります。

あなたが今すぐやるべきこと

  1. 無料版・Plusで始めるなら:まず設定画面で「すべての人のためにモデルを改善する」をOFFにする。その上で、個人情報・住所・地番・登記情報PDF・案件が特定される情報は入力しないルールにする。
  2. Plusを使うなら:無料版より利用制限や機能面では有利。ただし、個人情報の取り扱いについては無料版と同じく慎重に運用する。
  3. 事務所で使うなら:スタッフが使ってよい業務、入力してはいけない情報、AI出力を確認する責任者を決める。これを決めないまま使うと、野良AI化しやすい。
  4. 依頼者情報を扱う可能性があるなら:ChatGPT Business等のビジネス向けプランを検討する。ただし、Businessでも入力情報のトリアージと確認体制は必要。
  5. 迷ったら:「これはAIに入れてよい情報か?」を所長・資格者が判断する。事務員や補助者が自己判断で入力しない運用にする。

記事を読んで「AIの個人情報、ウチは大丈夫?」と思った先生へ

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次回予告

「Businessプランを契約した。これで登記情報も依頼者の秘密も、全部AIに入れていいのか?」

その答えは「半分正解で、半分間違い」と考えられます。
有料版契約があるからといって、手放しで全ての情報を入力するのはリスクがあります。

次回は、有料版ユーザーが陥りがちな「委託の拡大解釈」にメスを入れます。

  • 登記情報PDFをそのまま読み込ませていい「作業」とは?
  • 逆に、有料版でも絶対に伏せ字にしなければならない「相談」とは?

「公開情報だから大丈夫」という油断が、命取りになることもあります。

土地家屋調査士として守るべき「入力情報の選別(トリアージ)基準」と、現場で使える「黒塗りの鉄則」について解説します。

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