去る1月30日、京都土地家屋調査士会 みやこ南支部・伏見支部様よりご招聘いただき、AI研修を担当させていただきました。
会場には30名を超える土地家屋調査士の先生方がご参加くださり、AI未経験の方から、すでに日常的にAIを使っている方まで、幅広い層が集まる研修となりました。
今回のテーマは、
ドローン、3Dの次はAI!
機器に強い調査士の、次の標準装備。
です。
京都では特に、「AIに興味はあるけれど、まだ触ったことがない」「個人情報が不安で踏み出せない」という声が多く聞かれました。
一方で、すでにChatGPTやGeminiを業務で使っている先生も複数いらっしゃり、会場全体として「AIはもう他人事ではない」という空気を強く感じました。
まずはデモ:地積測量図の「座標化」
今回の研修でも、最初の掴みとして行ったのが、地積測量図(PDF)をAIに読み込ませ、座標値を抽出 → 検算 → CSV形式に整えるデモです。
このデモは毎回反応が良いのですが、京都でも「それ、もうできるんですか?」という雰囲気が一気に広がりました。
もちろん万能ではありません。手書き要素が強い図面や、三斜求積で三角形の特定が必要なケースでは、現時点では難しい場面もあります。
ただ、ここでお伝えしたかったのは、「専用ソフトがあるからAIはいらない」という話ではなく、汎用AIが、これまで専用領域だと思われていた作業に入り込み始めている、という事実です。
そして毎回強調していますが、AIの出力は必ずチェック(照合)が前提です。数値の誤読、桁ズレ、抜け落ち、もっともらしいウソ(ハルシネーション)は起こり得ます。
「AIが言ったから正しい」ではなく、最後はプロが締める。この前提は絶対に外せません。
座標入力のデモ動画はこちらから。
地積測量図(4筆)を3分で座標化します!
個人情報とリスクの話:ゼロリスクは存在しない
京都の研修で特に反応が大きかったのが、個人情報と守秘に関するパートでした。
「AIに入れた情報は大丈夫なのか?」
「どこまで入力していいのか?」
という不安は、やはり非常に強いと感じます。
そこで研修では、まず結論からお伝えしました。
個人情報・案件特定情報は、原則として入力しない。
オプトアウト(学習拒否設定)をしたとしても、リスクが完全にゼロになるわけではありません。
また、FAXの誤送信、メールの宛先ミス、クラウド共有の設定ミスと同じで、AIだけが特別に危険というわけではないのです。
重要なのは、「ゼロリスクを目指す」ことではなく、どこまでのリスクを受容するかを事務所として決め、運用ルールに落とすことだとお伝えしました。
立会いシミュレーター「ごんぞうさん」も登場
後半では、立会い対応を想定した対話シミュレーター(AI)もご紹介しました。
AIが頑固な隣地所有者役になり、こちらの説明に突っ込んでくる、という設定です。
ここでも印象的だったのは、調査士の先生方が、感情的に返すのではなく、「測量結果との照合」「断定しない説明」「根拠を示した段取り」を自然に使われていた点です。
AI時代になっても、いや、AI時代だからこそ、こうした基本姿勢の価値はむしろ上がると感じました。
アンケート結果から見えたこと
アンケートでは、満足度は全体として高く、「とても満足」「満足」が大半を占めました。
また、AIの利用状況についても、「まだ使ったことがない」方と「週1回以上使っている」方が混在しており、京都でもAI活用の広がりを実感しました。
効率化したい業務として多かったのは、事務所マニュアル作成、調査報告書、挨拶状・送付文、座標調整など、いわゆる内業・周辺業務です。
「現場は減らせないが、周辺業務は減らしたい」──これはどの地域でも共通の課題だと改めて感じました。
余談:京都という土地の空気
せっかく京都に来たので、研修の合間に京都御苑にも足を運びました。

平日だったこともあり人は少なめで、広大な敷地と静けさの中に、どこか荘厳な空気が漂っていました。自然と背筋がピシッと伸びる感覚があります。

また、最近読んでいる漫画『だんドーン』の影響もあり、少し歴史散策もしてきました。
『だんドーン』は、幕末から明治期にかけて活躍した、薩摩藩出身で後に初代警視総監となる川路利良を描いた作品です。下級藩士の立場から時代の大きなうねりの中で活躍していく姿が印象的で、個人的にも強く惹かれています。
その流れで、かつて薩摩藩邸が置かれていた場所(現在の同志社大学今出川キャンパス周辺)や、蛤御門の変の際に生じたとされる弾痕も見てきました。




教科書で知っていた出来事が、実際の場所として「そこにある」感覚。歴史と現在が重なって感じられるのは、京都ならではだと改めて思います。
最後に
京都の先生方は、慎重でありながらも本質を突く質問が多く、とても学びの多い研修でした。
運営いただいた京都土地家屋調査士会みやこ南支部・伏見支部、の皆様、そしてご参加いただいた先生方、誠にありがとうございました。
AIの杜さいたでは、土地家屋調査士向けのAI研修(支部研修・事務所研修)や、AI導入に関する個別相談も承っております。
「AIを入れた方がいいのか迷っている」「どう変わるのかイメージが湧かない」──そんな段階でも構いません。